目的のある食品:東南アジアの2021年以降のトレンドとは

※本記事は英語でもご覧頂けます:Purposeful Food: 2021 and Beyond in Southeast Asia

栄養、食の安全性、健康に対する意識の高まりから「目的のある食品」への需要が増加

新型コロナウイルスにより健康に対するホリスティックなアプローチが加速する中、栄養や食品の安全性に対する消費者意識が高まり、中でも栄養に対して注目が集まっている。健康面や栄養面での役割もさることながら、食べ物を消費することにおいて「体により良いもの」に重きを置く人が増えつつある傾向も、新しい製品やブランドの市場進出を促しているといえる。代替肉の質感や味、口当たり、風味の掛け合わせのレベルもさらに高まっており、自らの健康と環境のために積極的に選ぶ人が増えている。東南アジアでは代替たんぱく質への需要が増加しており、同地域における代替肉市場は、今後さらに成長する可能性を秘めている。

コンシャスな消費が代替肉を促進する

代替肉市場は近年勢いを増しているが、それは様々な生活様式トレンドによるところが大きい。代替肉の総消費量を見ると、中国と日本が最も多く、その後に韓国、マレーシア、インドネシア、そしてフィリピンと続く。代替肉ブランドは、これまでも増加し続ける消費者ニーズに素早い対応を見せてきた。その勢いはフードサービス事業の拡大を促し、健康的なファストフードを求める消費者、または、牛肉を植物由来の代替肉に変えることで、自身が気候変動にもたらす影響を減らしたいと考える消費者に選ばれている。

例えば、Beyond Meat(ビヨンド・ミート)はStarbucks(スターバックス)やKFC(ケンタッキーフライドチキン)と提携を開始している。地元企業も台頭しており、中国のZhenmeat(ゼンミート)やStarfield(スターフィールド)、香港のOmipork(オムニポーク)、シンガポールのGrowthwell Group(グロースウェル・グループ)、タイのLet’s Plant Meat(レッツプラントミート)などはその数例である。

2020年 国別 代替肉の市場規模(小売と外食の合計販売数量)

既存企業との競合に挑む次世代の代替肉ビジネス

東南アジアでは、代替肉の中でも豆腐とテンペ(大豆発酵食品)の人気が高く、日常的に欠かせないものになっている。特に、豆腐は同地域の加工代替肉市場の98%を占める。豆腐やテンペは、インドネシアではTempeh Penyet、フィリピンではAdobong Tokwa、マレーシアやシンガポールではLaksaといった料理として提供されるのが一般的である。そのため、消費者の習慣やなじみ深さ、味の好みといったものが、このような現地の料理の味付けや形式に大きく偏っているため、次世代代替肉企業の同市場におけるビジネスの展開は容易ではない。とはいえ、これら新興ブランドはフードサービスのチャネルを使って積極的に参入を進めており、東南アジアで代替肉の市場が成長する余地は十分にある。

強いブランド力:海外市場進出への鍵

競合企業が続々と東南アジア市場に参入する中、同市場で足場を固めるには強いブランド名が不可欠である。例えば、ビヨンド・ミートは、その強いブランド力を活かし、新市場に参入する数か月前から、その市場における自社の地位を確立することができる。ビヨンド・ミートは2019年に小売チャネルに乗り出し、今ではECサイトでも販売している。Impossible Foods(インポッシブル・フーズ)は2020年、シンガポールの小売チャネルでの販売を開始した。

Quorn(クォーン)もまた、東南アジア地域に進出を果たした世界的ブランドのひとつである。同ブランドは、シンガポールに応用研究所を開設し、より地域に合わせたアプローチを採用している。また、将来的な地域展開を見据え、シンガポールのフードサービス企業Soup Spoon(スープスプーン)と提携し、クォーン製の製品を使った、肉不使用のメニューが提供されているほか、同国の主流小売業者の間でも存在感を高めている。

フレキシタリズムの広まり

肉の摂取量を減らすフレキシタリズムという考え方の広まりも、代替肉を提供する企業に商機をもたらしている。東南アジアを見ると、肉の摂取量を抑えようとする消費者が増えており、食生活における肉の量を減らす目的で代替肉製品に注目が集まっている。この主な要因としては、宗教的な背景や高まる健康および環境への懸念が挙げられる。仏教の影響で菜食主義が広く受け入れられているタイやベトナムといった国々では、特に宗教的な理由が大きく、仏教最大の祭りと言われるウエサク祭などの間は、ベジタリアンでなくてもベジタリアン向けの食事を摂る人が多い。

東南アジア市場における成功の鍵を握るのは、より健康的な製品の品揃え、肉の質感、そして現地の味の分析

東南アジアの消費者の間でセルフイメージや健康を重視する傾向が高まる中、健康的な製品への需要が増えているが、この傾向は、パンデミック後の世界で特に強くなるとみられている。代替肉の質感や口当たりを牛肉に似せようとしている企業が多い一方、同地域では豚肉の方がより一般的であるため、今後は豚肉の代替品についても考える必要があるだろう。そして、企業が同地域に参入する際は、現地に合わせたアプローチを取らなければならない。

オムニポークを例に見ると、現地に合わせたアプローチを取りつつ同地域におけるプレゼンスの確立に成功していることがわかる。同社の成功は、ほかの次世代代替肉企業にとって、同地域の消費者がなじみやすい製品を開発し、市場における足場を固めるための参考になるだろう。パンデミックにより、可処分所得の高いシンガポールやマレーシアといった国々でも、代替肉市場の成長は加速することが予想されている。これらの国々における肉製品離れの流れは、ほかの東南アジア市場に比べると速くはないかもしれないが、この危機の中で、より自然に近い食品への需要が発生していることは間違いない。

ユーロモニターの2020年ライフスタイルサーベイ調査によると、回答した東南アジアの消費者の半分以上が、「5年後の自分はより健康的になっている」と答えている。また、「5年後、気候変動が自身の生活にもたらす影響は今より大きくなる」とも回答している。このような健康や環境への配慮が、現在、そしてこれからの「目的のある食品」への需要とそれに伴う商機を形成していくことになるだろう。

より詳細な情報については、弊社のレポートPackaged Foodをご覧ください。また、世界の加工食品市場における統計データや定性分析にご興味のある方は、こちらまでお問い合わせください。

(翻訳:横山雅子)