新世界グループによるeBay韓国事業の買収が韓国Eコマース市場にもたらすインパクト

※本記事は英語でもご覧頂けます:Impacts on South Korea’s E-commerce Market After Shinsegae’s eBay Korea Acquisition

韓国のEコマース市場は、過去10年間で驚異的な成長を遂げた。市場が成熟するにつれ、小売業者が競合企業、特に主要プレイヤーから市場シェアを奪うことは、今回の新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのような常識を覆す出来事が発生しない限り、ますます難しくなるだろう。新世界グループやロッテグループといった小売流通業界のコングロマリットが、eBayの韓国事業の買収に大きな関心を示したが、これは、この買収が当面の間、韓国の小売業界において優位なポジションを確立するための唯一のチャンスになるかもしれないからだ。

Eコマースが世界の小売市場および韓国小売市場に占める割合


Retail Value RSP excl Sales Tax in USD million, Fixed 2020 ex rates, Current Prices

Source: Euromonitor International

韓国国内では、オンラインとオフラインの小売市場の両方において支配的な地位を保つ企業がいないことから、新世界グループによるeBayの韓国事業の買収は、多くの関係者の注目を集めている。両社が長期的に成功を収めるためには、無理に1つのブランドとして統合するのではなく、それぞれの現在のブランドポジショニングを、引き続き継続することが必要になるだろう。例えば、GmarketやAuctionのユーザー層が、SSG.Comのそれとは異なることを考えると、消費者セグメンテーションに基づき、別々の戦略を実行することが重要になるだろう。

新世界グループによるeBayの韓国事業の買収により、同2社を結ぶ強力なオムニチャネルネットワークが築かれることになる。全国に店舗を有する新世界グループと、中高年層を含む幅広い顧客層を持つeBayというトッププレイヤー同士が手を組むことは、対抗することが難しい強力な小売業界の巨人の誕生を意味する。消費者がGmarketで購入した商品を、新世界グループの実店舗で返品することが可能になれば、米国のWalmartが「最寄り店舗で返品可能」というポリシーを重要な差別化要因としたように、忠実な顧客基盤の確保につながる可能性がある。また、eBayは、韓国で初めてマーケットプレイスのビジネスモデルで成功した企業であることから、新世界グループはeBayのマーケットプレイス分野における専門知識を活用しつつ、強力なマーケットプレイス・プラットフォームを構築することが可能になるだろう。

今後数か月あるいは数年の間、今回の買収に伴う予期せぬ問題が発生する可能性はある。しかし、近年SSG.Comの立ち上げで成功を収めていた新世界グループが、そのEコマースにおける対応能力を次のレベルに高めるには、今がちょうど良いタイミングなのかもしれない。

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(翻訳:横山雅子)