免疫力向上製品の需要の波に乗るアジアの飲料メーカー

※本記事は英語でもご覧頂けます:Beverage Manufacturers in Asia Pacific Tap into Demand for Immune Support

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、人々は自身の消費習慣や飲食に対する考え方を見直すようになり、ビタミン剤やサプリメントを摂取することで免疫力を高め、病気になるリスクを減らすよう努めるなどしています。健康懸念の高まりを受け、アジア太平洋地域の飲料メーカーは、白血球の能力を高めるビタミンや、腸内環境を整える効果があるプロバイオティクスを配合した製品を市場に投入しています。

果汁飲料などは、製品パッケージ上で必ずしも免疫力向上の訴求をしているわけではないことから、免疫力の向上を目的として購入される飲料製品の市場規模を正確に測るのは難しいですが、免疫力向上飲料と称されるタイプの中には果汁飲料やKombucha(コンブチャ)などが含まれます。アジア太平洋地域の100%果汁飲料の市場規模は2020年に69億米ドルに達すると見込まれており、2020年から2025年の間、実質4%の年間平均成長率(CAGR)を記録することが予測されています

アジア太平洋地域の100%果汁飲料市場規模(小売額ベース)
2019年から2024年(2020年以降は予測)

製品タイプが拡がるアジアの免疫力向上飲料市場

「免疫力を高める」とされる製品カテゴリーの中で最も人気があるのは、やはりビタミンを含有し健康的だと認識されている果汁飲料です。アジア太平洋地域の小売販売における果汁飲料市場は、2020年には251億米ドルに達すると見込まれ、2020年から2025年の間に実質2%の年間平均成長率を記録するものと見られています。

ビタミンの他にも、クルクミンや生姜といった植物性成分も果汁飲料に配合されるようになりました。2020年、タイではクルクミン、レモン(ビタミンC)とその他のビタミンを配合し、免疫力の向上効果を謳ったQminCジュースが発売されました。同様に、同年5月に発売されたTipco (ティプコ)のFruity MixシリーズのGinger and Carrotフレーバーも、免疫力を高めるためにビタミンCを配合しています。また、スムージー製品も台頭し始めており、日本で発売されたTropicana (トロピカーナ)のEssentials Plus(エッセンシャルズプラス)や、ベトナムのTH True Juice Smoothies (THトゥルー・ジュース・スムージーズ)、インドネシアのNutriSari Mango Smoothie(ニュートリサリ・マンゴー・スムージー)といった製品は、ビタミンや天然成分の配合を訴求しています。

また、免疫向上を謳った飲料製品は、従来の果汁飲料やコンブチャ以外のカテゴリーでも現れ始めています。最近の調査期間中には、健康効果を訴求する機能水製品が市場で見受けられました。例えば、タイのIchitan Group(イチタングループ)のPH Plus 8.5 (PHプラス8.5)ウォーターは、アルカリ性なだけでなく、ビタミンCを配合しています。他にも、香港のCheck Check Cin(チェックチェックシン)のDawn Rice Water (ドーン・ライスウォーター)は、赤米、白米、ハトムギを配合し、消化器の健康や肌の調子の改善を助けるとしています。

より健康に重きを置くようになったアジアの消費者たち

飲料製品の製法において、ビタミンの配合をより強調するようになったことは、アジアの消費者の健康に対する意識の変化を反映しているといえます。ユーロモニターが2020年1月から2月にかけて実施した「健康・栄養に関する消費者サーベイ調査 」によると、中国、韓国、インド、タイそしてインドネシアからの回答者の少なくとも40%が、「自身の総合的な健康と栄養にとってビタミンは重要である」と答えています。

アジア太平洋地域の殆どの国において、少なくとも40%の回答者が「自身の総合的な健康と栄養にとってビタミンは重要である」と考えている

加えて、漢方や生薬といった、従来、医薬の一部だと認識されていた植物性成分が配合されることで、飲料製品の健康訴求が更に強調されています。もちろん、健康訴求のほかにも味、価格、安定した在庫は、購買層を拡げ売上を伸ばすための重要な要素です。

また、プロバイオティクスが配合された飲料製品もより多く見られるようになりました。プロバイオティクスは従来、飲むヨーグルトといった乳製品に使用されていましたが、他の飲料製品の間でもイノベーションが生まれており、消化器系の健康促進を訴求したプロバイオティクス配合のRTD(レディ・トゥ・ドリンク)茶系飲料やコンブチャといった製品が発売されています。これらプロバイオティクス配合の飲料製品は、製品のラインナップが今のところ限定的ですが、消費者の健康意識の更なる高まりを受け、次の製品イノベーションの波の中でより顕著に見受けられるようになるでしょう。

アジア太平洋地域では、消費者の消化器系の健康に対する意識の高まりを受け、ニッチなコンブチャブランドが出現しており、タイのThree Goats Brewery(スリー・ゴーツ・ブリュワリー)やマレーシアの1980 Boom Cha Brew (1980ブーム・チャ・ブリュー)およびWonderBrew (ワンダーブリュー)はその数例です。ワンダーブリューは2018年11月に事業を開始した会社で、消費者が求める味や製品の種類の拡大に努めており、地元色が強いパッションフルーツ・スペアミント味やバタフライピー・レモングラス味の製品を発売しています。同様にRTD茶の分野でも、韓国のKwang Dong Pharm (廣東製薬)のプロバイオティクス入り菊芋茶製品や、シンガポールのNestea(ネスティー)のジャスミンティーと食物繊維を配合した緑茶製品が、腸内環境や免疫力向上を助ける製品として売り出されています。また、機能水製品の中にも日本のキリンiMuseや中国のJianlibao(健力宝)のWei Pao Water等、食物繊維を配合した製品も現れています。

免疫向上を目的とした製品イノベーションが増加する

COVID-19のパンデミックの発生を受け、免疫力の向上を目的とした製品イノベーションが増加しています。一方で、いくつかの飲食品に関する規制機関は、誤解を招くような製品の健康主張の問題性について指摘しています。例えば、シンガポールの保健省は、COVID-19に関連するあらゆる製品訴求は、適切な科学的根拠によって裏付けられるべきだ、としています。このように、飲料メーカーには、責任をもって免疫向上製品を宣伝していくことが求められています。

そして、消費者の健康や味に関するニーズを継続的に理解していくことが、免疫向上飲料がパンデミック後の市場で長期的に成長していくうえで重要になります。教育水準が高く都会的なアジアの若者消費者層は、新しい物事をまず試したいことから、この層をターゲットにすることが成功する上で不可欠です。また、今後はビタミンCやプロバイオティクスの他にも、朝鮮人参や食物繊維のイヌリンといった、免疫向上効果があるとされる植物性成分への注目が高まることが予想されています。

このトピックについてのより詳細な情報をについては、レポート「 Immune Support after the Coronavirus: Drinks and Tonics」(有料)をご覧ください。

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