先行き不透明な時代にミレニアル・Z世代を惹きつけるための新たな戦略

※本記事は英語でもご覧頂けます:New Strategies to Engage Millennials and Generation Z in Times of Uncertainty

2021年、ミレニアル世代(1980年~1994年に生まれた世代)およびZ世代(1995年~2009年に生まれた世代)は世界人口の46%を占め、最も重要な消費者セグメントとなっている。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染爆発が発生すると、若者世代の多くが教育機関の閉鎖、悪化する雇用環境と収入の見通しといった経験をし、ストレスや不安のレベルが上昇するなど、ミレニアル世代およびZ世代との関わり合いは、より難しいものになった。

とはいえ、独特の特徴や多様性をもつこれらの世代の消費者を取り込むことは、これまでも決して容易ではなかった。どちらの世代もテクノロジーおよびイノベーションに大きな期待をよせ、モノよりも体験に価値を見出しており、革新的かつ社会的責任な考え方を持つ傾向があり、これらの特徴が、今日の「見せびらかすための消費」から「コンシャスな消費」へのシフトを促進している。これらの世代の消費者は実際に行動に起こすことで知られ、より年齢層の高い世代にも影響をもたらしている。

企業は、先行き不透明な時代に若い世代の消費者との関係を維持するためのエンゲージメント戦略として、Innovation(イノベーション)、Price (価格)、Values(価値観)、Activism(行動主義)という4つの柱に重点を置く必要がある。

ミレニアル世代とZ世代を取り込むための4つの柱

Source: Euromonitor International

若者世代の創造性を活用した共同イノベーション

若い消費者は常に最新の、刺激的で手にしやすい製品やサービスを探している。そして、企業のイノベーションプロセスに加わることで、自分たちが欲しい製品や必要な製品を実現させたいと考えている。Z世代が、COVID-19の期間中に友人から切り離されたこともあり、生活の中に常に楽しさを求めている一方で、ミレニアル世代は、若い家族のための便利なソリューションやより安全性を重視した外出体験を望むようになり、結果として、代替の小売チャネルや遊び方、生活様式が進化しつつある。例えば、ソーシャルメディアやバーチャル店舗、eスポーツ、デジタルゲームの他にも、安全性を重視したイベント会場や、ソーシャルディスタンスが確保された外食機会、エクササイズ施設、イベントが台頭している。これらの新しいプラットフォームは、バーチャル試着や店内でのフィッティングの予約などの新たなサービスと同様、COVID-19以前の生活習慣と並行して活用できるため、今後の消費者生活をより便利なものにするだろう。

ミレニアル世代とZ世代 ソーシャルメディアプラットフォームの使用率 2020年

Source: Euromonitor International Digital Consumer Survey 2020

新しい価値観と値ごろ感に合わせた価格戦略

パンデミック発生以前から、ミレニアル世代とZ世代の消費者の価値観は純粋な価格や品質だけでなく、独自性、幸福感、持続可能性などの個人的および社会的価値観に依るところが大きく、すでに多面的であったといえる。現在のパンデミックと不況の中で、若い消費者の多くが収入の減少を直接経験したことで、価値観と値ごろ感はますます重要な要素となり、彼らの購入決定を左右するようになるだろう。2020年、25〜29歳の人々の世界平均年間総所得は実質で6%減少している。

ただし、価格感度は所得層によって異なるため、その全てをカバーする万能な戦略はない。企業やブランドは、ターゲットとする消費者グループの値ごろ感に対する認識を再評価し、それに応じて彼らの新たなニーズと優先事項を満たすべく、価値と価格戦略を改善する必要がある。全体としては、リスクを嫌う若い消費者は価値と品質だけでなく、心の平穏をもたらす製品やサービスを求めるようになると予想される。

若い消費者の価値観や優先事項と接点を持つ

ミレニアルおよびZ世代の購入決定は、彼らの価値観と人生における優先事項によって特徴づけられる。企業は、製品やサービスを開発または刷新する際、両世代の「欲しいもの」と「必要なもの」の間にある類似点を考慮する必要がある一方で、特にパンデミックによってもたらされたこのニューノーマルの中では、それらの違いを理解し調整しなければならない。COVID-19はこれらの進歩的な世代の人々に大きな衝撃を与え、多くの人が現在の状況、そして未来に抱いていた理想や期待を再考せざるを得なくなった。現在、新たな生活習慣やニーズが、健康、自己の改善、そして新しい行動様式を巡って生まれ進化している。COVID-19により変化は可能なだけではなく、短期間で起こり得ることが分かった今、若い消費者たちは従来とは異なる方法で物事を進め、自分たちのため、そして地球環境や社会のためにも、より良い世の中を築いていこうと考えている。

人々と地球環境のために変化を求める若い活動家たち

意志が強いミレニアル世代に加えて、不安と怒りを抱え、非常に表現力の豊かなZ世代が台頭している。Z世代の中にはソーシャルメディアやデジタルゲームを介してオンラインで活動を行い、より強い影響力を持つべく、大規模な活動家コミュニティを構築している者もいる。ユーロモニターの2020年ライフスタイルサーベイ調査によると、Z世代の48%とミレニアル世代の46%が、「自分は向こう5年間で、より深くコミュニティに関わるようになるだろう」と答えている。ロックダウンや制限された生活を強いられた若者世代の不満は高まった。落胆し脆弱な彼らは、生活のあらゆる面に混乱をもたらした今回の世界的な危機に対して怒りを感じ、痺れを切らし、反撃をしようとしている。そんな消費者たちが期待するのは、より可視化され、行動的で透明性が高い企業の姿だ。彼らは、自分たちの価値観を反映していないブランドの購入を避け、代わりに環境や社会問題に立ち向かうブランドに切り替えつつある。

厳しい懐事情が続く若者層

パンデミックが経済および雇用に大きな影響をもたらしていることもあり、若い消費者層の収入増加は、今後数年間は抑制されたままで推移するだろう。

アジア太平洋地域と東欧を除くすべての地域で、ミレニアルおよびZ世代の平均所得がパンデミック前の水準に戻るのは、2023年もしくはそれ以降だと予測されている。ただし、若い消費者の所得の伸びが鈍化する一方で、将来の消費者市場は今後もミレニアル・Z世代によって形作られていく。ニューノーマルの中で若い消費者とうまく関わりを持ち続けるために、企業は迅速かつ柔軟にイノベーションを採用し、若い消費者の新しい優先事項と価値観に沿った戦略を再考する必要がある。

地域別 15歳~39歳人口の総所得見込み(2019年~2023年)

Source: Euromonitor International from national statistics. Note: Data from 2021 are forecasts.

Z世代とミレニアル世代の消費者の詳細な分析と彼らとの関わり方については、弊社のレポート『Engaging Millennials and Generation Z in the Coronavirus Era』(有料)をご覧ください。また、世界の国・消費者の統計データや定性情報をお探しの方は、こちらまでお問い合わせください。

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(翻訳:横山雅子)