今後のアパレル・フットウェア業界にとってカギとなるトレンドとは

※本記事は英語でもご覧いただけます:Key Trends Shaping the Apparel and Footwear Industry

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの影響を最も受けた業界のひとつが、アパレル・フットウェア業界です。アパレル専門店や百貨店はエッセンシャル(必要不可欠)とは見なされないことから、店舗閉鎖を余儀なくされました。また、在宅勤務や学校閉鎖、様々なイベントの中止によって消費者が新しい衣類や靴を買わなくなったことも、ファッション小売業に追い打ちをかけました。結果、ユーロモニターのCOVID-19後のベースライン予測(2020年12月更新済)によると、2020年、世界のアパレル・フットウェア市場は実質ベースで19%縮小する見込みです。

世界市場予測シナリオ ベースライン

Source: Euromonitor International COVID-19 Dashboard. Last updated on December 15, 2020.

急速に後退する世界経済とCOVID-19がもたらす先行き不透明感により、アパレル・フットウェア業界がパンデミック前の水準にまで回復するのは当面先になるものと見られています。COVID-19の感染者が増加し続け、ソーシャルディスタンス対策と移動制限が継続されている国々では、アパレル・フットウェアの店舗における売上の低迷は避けることができないでしょう。

パンデミックがアパレル・フットウェアの世界市場にもたらした5つのキートレンドを、下記の通りにまとめました。

客足の減少を受け再考される消費者とのタッチポイント

パンデミックは、以前より急成長していたEコマースの勢いをさらに加速させました。ユーロモニターのアパレル・フットウェア市場調査(2020年12月更新済)によると、Eコマースは現在、世界のアパレル・フットウェア市場全体の28%を占めます。オンラインチャネルの拡大に伴い、カーブサイドピックアップや注文配達、バーチャルショッピングやライブストリームショッピングといった新しいデジタル販売戦略の重要性がますます高まるものと考えられます。米国では、靴専門店のDSWやアパレル店のOld Navy(オールドネイビー)、American Eagle(アメリカンイーグル)がいくつかの店舗においてカーブサイドピックアップと注文配達のサービスを開始しました。中国ではライブストリーミングが急速に支持を集めています。Louis Vuitton (ルイヴィトン)やBurberry (バーバリー)といったブランドが、ライブストリーミングを使って消費者とやり取りをしながら製品を実演販売しています。消費者がより多くの時間を自宅で、スマホを使いながら過ごすようになっていることから、ライブストリーミングの人気は今後も続くものと見られています。

ロックダウンによって自宅でのウェルネスへの需要が増加する

パンデミックの最中、消費者はより健康的なライフスタイルに移行しています。ユーロモニターが2020年10月に実施した「ボイス・オブ・ザ・インダストリー:COVID-19」サーベイ調査によると、回答した全ての有識者および業界関係者のうち、41%は「健康ウェルネス製品の購買増加はあくまでも中期的な変化であり、徐々にパンデミック前の水準に落ち着くだろう」と回答している一方、40%は「購買傾向の変化は恒久的なものになるだろう」と考えています。消費者が自宅にいながらアクティブに運動する方法を模索する中、Nike(ナイキ)やAdidas(アディダス)、Lululemon(ルルレモン)といった企業は消費者にバーチャルクラスといった自宅における体験を提供することで、顧客ベースとの交流およびつながりを保とうと努めています。

予想されるショッピングおよび支出に関する消費者習慣の変化 (2020年10月)

COVID-19によって先行きが不透明な中、カギとなるのは価格とコスパ

パンデミックが続く中、ブランドや小売企業は落ち込む衣類や靴への消費者需要を刺激するために、大幅なディスカウントを提供しています。世界的に広がる不景気と失業率の上昇により、消費者は価格とコスパを今まで以上に重要視するようになります。人々は今まで通り、ディスカウントやお買い得品を求めるだけでなく、より低価格な製品を求めて選択するブランドを妥協したり、購入品数を減らしたりします。ノーブランドやプライベートブランドのベーシックアイテムは低価格であることから、現在の経済環境下において売上を伸ばすものと見られます。

サプライチェーン戦略を練り直すアパレル・フットウェア企業

パンデミックの発生以来、移動制限の厳格化や工場および実店舗の閉鎖など、製造部門、サプライチェーンそして小売営業は未だかつてない重圧に晒されています。中国では業界を問わず、数多くの工場が閉鎖され、移動制限も課せられました。このことは、同国が世界最大の衣類・靴製品の生産国および輸出国であることから、アパレル・フットウェア業界にも大きな影響をもたらしました。アパレル・フットウェア企業は今後、中国以外にサプライヤーを求めるなど、サプライチェーンの多様化の動きが見られるでしょう。

サステナビリティは長期的には重要な課題であり続ける

消費者はサステナビリティを目的として掲げるブランドを優先して選択しています。企業はサプライチェーンを変えたりアップサイクル衣類を発売するなど、環境保護への関与をさらに深めているほか、消費者への支援を示し、個人的に心でつながるべく、自社の社会的課題への態度を表明するようになっています。

このことは、Black Lives Matter (ブラック・ライブス・マター)運動の活発化を受け、ナイキ、Marc Jacobs(マークジェイコブズ)、H&Mを含む多くのファッションブランドがSNSサイト上で声明を発表し、結束の意を示したことからも明らかです。目的意識があるリーダーシップは未だかつてないほど重要になっており、社会意識が高い消費者は企業に対し、行動と掲げた目的追求の約束を協調させつつ、透明性と共感性をもって人々を導いていくことを期待しています。

本文中で言及されたトレンドに関するより詳細な分析、世界のアパレル・フットウェア市場概況および今後の見通しについては、レポート「World Market for Apparel and Footwear」(有料)をご覧ください。

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