世界の消費者トレンド – 東欧地域

※本記事は英語でもご覧頂けます:Global Consumer Trends in Eastern Europe

ユーロモニターが発行した『2021年 世界の消費者トレンド』レポートが示すように、新型コロナウイルス(COVID-19)は消費者の行動に大きな影響を与え、企業は戦略の再調整と新たな需要への対応を迫られている。今回のパンデミックは世界的なトレンドを形成している一方、消費者の反応は地域によって違いが見られている。ユーロモニターのヴィリニュス支社の専門家チームは、前述の『2021年 世界の消費者トレンド』レポートの中から、東欧地域で最も大きな影響を与えている2つのトレンドを特定した。

「利便性を渇望する消費者たち」:東欧地域における配送インフラと自宅体験の広がり

パンデミック以前、東欧地域では消費者が地元のショップやレストランに頻繁に足を運ぶという購買パターンが一般的であった。しかし、ロックダウンによってこの購買パターンは崩れ、人々は実店舗に足を運ぶ頻度が減り、大手の食料雑貨店はオンラインでの販売やプロモーションに重点を置くようになった。

ロシアのWildberries(ワイルドベリーズ)やポーランドのGrupa Allegro(グルパ・アレグロ)のような大手EC企業は、商品の品揃えを急速に拡大し、食料品を取り扱うようになったほか、需要の増加に対応するために新しい物流センターを設置するなど業務を拡大した。東欧地域では、セルフサービスのピックアップポイントというインフラへの大きな投資が相次いでいる。住宅地域から徒歩圏内にピックアップポイントを設置することで、宅配に代わる安価なサービスを提供し、これがワイルドベリーズの成功に大きく貢献している。同社が2020年、受け取り場所のネットワークを7,500から26,000に拡大したことは注目に値するだろう。他の企業の中には、郵便集配インフラを拡大した地域内の郵便事業者と提携するなどしている。

東欧地域におけるEコマース売上の割合:2019年~2020年

Source: Euromonitor International

ロックダウンの期間中、消費者がEコマースに駆け込む一方で、外食体験もいくつかの点で進化を遂げた。東欧地域では、消費者が便利な外食体験を求めてフードデリバリー・プラットフォームの需要が急増した。この新たな需要の高まりを受けて企業は配送運転手のネットワーク拡充に取り組み、ロシアのYandex(ヤンデックス)のように、タクシー利用者の減少に伴い、タクシー運転手を配送運転手に配置替えした企業もあった。また、毎日レストランの料理を注文するのは経済的な負担となることから、豪華な食材のイメージと簡単な調理方法が記載されたミールキットを宅配する新しいサービスが台頭しており、ロシアのChefmarket(シェフマーケット)やYandex.Chef(ヤンデックス・シェフ)などはその代表的な例である。これらのサービスは料理を作る時間と労力を節約できるだけでなく、より経済的な選択肢として登場した。

­­「思慮深い倹約家たち」:パンデミックによって節約志向が加速する

パンデミック以前より、東欧諸国の可処分所得は世界平均よりも低く、消費者はすでに価格に敏感であったが、パンデミックによる雇用や経済の見通し不透明感や金融不安により、この傾向はさらに強まった。2020年、東欧の消費者支出は実質マイナス5%と、世界の地域で3番目に大きな縮小をみせた。

世界の消費者支出の成長率:2020年

Source: Euromonitor International from national statistics/Eurostat/UN/OECD

東欧地域は歴史的にも経済発展の遅れた地域であったが、パンデミック前は西欧の先進国に追いつく勢いで成長を遂げていた。 しかし、経済指標が改善しても、銀行への信頼度が低いこともあり、消費者の消費習慣の変化は遅かった。その結果、ロシアやウクライナのような金融不安のある国では、一般の消費者はすでに比較的倹約を意識し、質素な生活を送っていた。企業はすでに、支出に慎重な消費者のニーズに対応する必要性に迫られていたが、これがパンデミックによってさらに高まることとなった。

2021年、東欧の消費者は、お買い得な製品を求めているが、できれば品質にはあまり妥協したくないと考えている。例えば、家電製品では、大手ブランドがHaier (ハイアール)をはじめとした中国メーカーの低価格な製品に押され、市場はますます細分化しつつある。大手ブランドの対応も早く、Apple(アップル)はiPhoneのラインナップに廉価版を投入し、エコノミーブランドのXiaomi(シャオミ)はHuawei(ファーウェイ)から市場シェアを奪っている。また、消費者は、OLEDよりも安価で高画質なQLEDなど、進化した液晶ディスプレイを選択するようになった。これらの購入資金を調達するために、「今買って、後で払う」という無利子のクレジットを提供する小売業者が増えている。このオプションは、以前は支出に慎重だった倹約家の買物サイズを増やすのに一役買っている。一方、加工食品をはじめとした非裁量支出カテゴリーでは、メーカーはパンデミックによってコストが上がっているにも関わらず、製品価格を抑える販売促進を強いられている。

お金と時間の節約に対するニーズがEコマースを後押しする

本文で言及されているトレンドは、企業が東欧市場に合わせソリューションやサービス、製品をカスタマイズする必要性の高まりを示している。利便性を追求する消費者は、商品のシームレスな配送といった付加価値のある、使いやすいソリューションを求めている。一方で、続く金融不安は、消費者の購買力や優先順位にさらなる影響をもたらしている。感染率の低下やワクチンの普及に伴い経済が回復し始める中、ユーロモニターの『世界の消費者トレンド』レポートは、新しい市場環境では迅速な適応能力と弾力性が重要であり、また、新しく出現している成長機会を上手に活用することの必要性を示している。2022年そしてその後の東欧市場を見据えると、時間とお金を節約したい消費者ニーズに後押しされ、同地域のEコマース市場は2025年末までにほぼ倍増するだろう。

「利便性を渇望する消費者たち」「思慮深い倹約家たち」トレンドについての詳細は、弊社の無料レポート『2021年 世界の消費者トレンドTOP10』をご覧ください。また、これらのトレンドが、自社の事業や製品分野にどのような影響をもたらすかについて、詳しい調査にご興味がある方は、こちらまでお問合せください。

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(翻訳:横山雅子)