Megatrends
The most influential Megatrends set to shape the world through 2030, identified by Euromonitor International, help businesses better anticipate market developments and lead change for their industries.
Learn More本記事はレポート『2021年 世界の消費者トレンドTOP10』で紹介している10のトレンドのうち1つを取り上げ考察したものです。レポート全文(日本語版)のダウンロードはこちらから。
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止のためにロックダウン措置が講じらると、消費者は外出自粛を強いられる中でも日常生活を維持しようと、コネクテッドデバイスを生活に取り入れるようになりました。多くの人々が仕事や学習、エクササイズ、ショッピング、社交活動など様々な場面において、ビデオ会議ソフトウェアや拡張現実(AR)、仮想現実(VR)のツールを活用し、物理的に離れていながらもバーチャル上で外の世界と繋がるようになるなど、新しい行動習慣が形成されています。
2021年、強制的な外出禁止はなくなるかもしれませんが、消費者の多くはパンデミック発生前よりも自宅で過ごすことを選ぶようになると予想されます。自宅での新たな生活習慣にも慣れた今、人々は今後も、その快適さや利便性を享受したままデジタル上で外の世界とつながる新たな方法を模索するようになります。当面の間、人々が外出するのは、営業を再開した店舗やスポーツジムなど、物理的な空間へ行く必要がある時、または行きたい時だけになるでしょう。
その結果、世界的企業やブランドは、2021年もデジタル世界と現実世界の両方で消費者の心を掴むための投資を継続して行っていくことになります。消費者の居場所にかかわらず「忘れられない体験」を提供することができ、尚且つEコマースの売上を伸ばしながら有用なデータを収集していく企業やブランドが成功を遂げるでしょう。
2020年は1年を通してスポーツジムの使用が制限されていたこともあり、多くの消費者が自宅でのフィットネスを習慣化するようになりました。YouTube(ユーチューブ)ビデオを参考にして運動する人もいれば、Peloton Tread(ペロトン・トレッド)のランニングマシーンやSoulCycle At-Home bike(ソウルサイクル・アットホーム・バイク)、Lululemon(ルルレモン)のMirror(ミラー)といったフィットネス機器を購入し、オンライン上で提供されるライブのワークアウトレッスンに他のユーザーと共に参加したり、オンデマンドで自分の都合の良い時間に参加する人もいます。2021年、自宅がグループフィットネススタジオと化し、自宅で相互交流しながらエクササイズをすることができる今、消費者はパンデミック発生前ほど頻繁に近所のジムを使用することはなくなります。むしろ彼らは、自分が使用する自宅用のフィットネスサービスや製品、自宅トレーニング用ウェアや器具 を友達や家族、以前のジム仲間達に勧めるようになるでしょう。
2020年、ノンエッセンシャル(必需品でない)製品を取り扱う小売店舗が閉店・休業を余儀なくされたことにより、多くの消費者が初めて、身の回り品から自宅の室内装飾品に至るまであらゆるものをオンラインで購入するようになりました。それを受け、ブランドや小売業者は、オンライン販売の領域におけるイノベーションに投資を行うようになりました。 Amazon(アマゾン)やRalph Lauren(ラルフローレン)といった企業は、ライブストリーミングやバーチャル試着室・店舗を導入し、友人との買い物やウィンドウショッピング、店内スタッフにアドバイスを求めるといった、消費者が実店舗での買物に求める体験を、全てオンラインで再現できるようになりました。 Eコマースはデジタルツールによって、ただ便利なだけでなく、実店舗でのショッピングよりも楽しい体験となることから、消費者はますますEコマースを活用するようになります。結果として、Eコマースの成長とそれに伴う店舗型小売業の後退は、2021年、店舗営業が再開した後も続くものと見られています。
COVID-19に効果的なワクチンが開発されることで、2021年には早々に、かつての平常が戻ってくるのではという期待感がある一方、企業と消費者は、2020年に積み重ねた変化を簡単に手放すことはしないでしょう。日常生活における多くの物事がオンラインで行われるようになった今、世界中で、未だかつてないほど多くの消費者が、自宅で快適にエクササイズやショッピング、社交活動等を行うようになりました。2021年、消費者は再び外出するようになり、安全を確認したうえで店舗やスポーツジムなど自ら訪れるようになる一方で、バーチャルな世界における活動や人との付き合いも継続していくでしょう。企業やブランドにとっては、デジタルと物理的空間の両方におけるタッチポイントを通して優れた顧客体験を提供し、「フィジタルリアリティ」の中でデータの収集や売上の向上に努めると共に、顧客ロイヤルティを高めることが重要になります。
「フィジタルリアリティ」トレンドに関するより詳細な洞察や2021年の消費者行動を牽引する世界的なトレンドについては、ユーロモニターインターナショナルのレポート『2021年 世界の消費者トレンドTOP10』をご覧ください。日本語版ダウンロードはこちらから。