サステナビリティから目的の追求へ:成功のための発信、測定、エンゲージメント

※本記事は英語でもご覧頂けます:From Sustainability to Purpose: Communicating, Measuring and Engaging for Success

2021年3月、ユーロモニターでは、『From Sustainability to Purpose: The New Way of Doing Businesses (日本語訳:サステナビリティから目的の追求へ:ビジネスの新たな進め方)』と題したウェビナーを開催し、新しい消費者の価値観や、サステナビリティから目的追求へのシフトについて、この変化の最前線にいる3人の専門家を招いて対談を行いました。本記事では、サステナビリティがビジネスモデルを左右する可能性がある一方で、その価値観は社内の特定部門に限定せず、あらゆる立場を越えて企業文化として組み込むことができることなど、同イベントで得た教訓からの学びを掘り下げて紹介します。

サステナビリティから目的の追求へ:教訓から学ぶ

From Sustainability to Purpose: Lessons Learnt

1. 資本主義への新たなアプローチ

パネルディスカッションではまず、元M&Sのサステナブルビジネス担当ディレクターで、企業におけるグリーンビジネスの先駆者のひとりでもある、Mike Barry氏がサステナビリティのこれまでと未来について話しました。同氏は、「資本主義、新自由主義的な税制、そしていい加減な規制により、企業が場所を問わず、好き勝手に事業を進めてきたこの40年のサイクルが終わりを迎えようとしている」と述べています。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック以降、企業はより社会的に有益で、より自然との調和を求められるようになりつつあります。将来的には、企業のビジネスモデルは持続可能性によって左右されることになるでしょう。

2020年は、COVID-19のパンデミックの発生により、企業と消費者の双方が社会貢献を意識した年となりました。Mike氏は、この勢いを維持する必要があるということに同意するとともに、企業は単に以前のようなコンプライアンスのアプローチ方法に引き返すことはできないと話しました。私たちが必要としているのは公正な移行であり、それは人々のために、二酸化炭素排出量を実質ゼロにするのと同じくらい重要です。

2. 目的が利益を生む

ユーロモニターの「ボイス・オブ・ザ・インダストリー:サステナビリティ」サーベイ調査(2020年)では、企業における目的主導型戦略への関心の高さが反映されており、調査対象の業界関係者の50%が目的主導型の組織で働いていると回答しています。企業がより目的主導型になることを支援する団体Leaders on PurposeのCEO兼共同設立者であるChrista Gyori氏は、この目的主導型化の動きに参加しようとしている企業に対し、目的主導型戦略が企業にもたらす利点として、ビジネスの弾力性、従業員や消費者との関わりが格段に向上すること、そして多くの場合、低コストで資本にアクセスできることなどを紹介しました。

IKEA(イケア)のグローバルアフェアーズおよびCOP26のパートナーシップアドバイザーでもあるHege Sæbjørnsen氏もこの意見に賛同し、イケアにとって、サステナビリティ戦略が企業の目的であり、ビジネスの方向性を示すものであると話しました。このことがイケアの成功の原動力になっているにもかかわらず、同社が目的主導型企業であることを知らない人は意外と多いのではないでしょうか。

目的はビジネス戦略に混乱をもたらすこともあります。Mike氏も述べたように、企業はこうした混乱によって良くも悪くも変わる可能性があります。同氏はこの動きをけん引している例として、自動車業界でのディーゼル車から電気自動車への移行、食品業界での食品生産の屋外から屋内への移行、そしてパッケージング業界での使い捨てプラスチックからの脱却などを紹介しました。

3. 言葉の重み

消費者は、社会的目的を最優先する企業を評価するようになりつつあります。ユーロモニターの「ボイス・オブ・ザ・コンシューマーズ:ライフスタイル」サーベイ調査によると、2021年には、世界の消費者の約3分の1が自分の価値観に合ったブランドを選んで購入し、4分の1以上がそうでないブランドからは購入しないと答えています。

この結果にChrista氏も同意し、「人々は、ビジネスリーダーがその組織の内外を問わず物事を主張し、うまくいかないことに対してもどのように対処し、変えていくのかについて、正直に、また透明性をもって、本音で語ることを求めている」と述べました。

デジタル化が加速する中、特に若い世代の消費者行動に影響を与えるオンライン活動が増えていくと思われます。そのため、サステナビリティや目的を効果的に発信することが、企業の成功にとってますます重要になりつつあります。しかし、ユーロモニター「ボイス・オブ・ザ・インダストリー:サステナビリティ」サーベイ調査(2020年)によれば、「消費者に対するサステナビリティ関連の発信は大変効果的である」と考える企業はわずか8%にとどまり、13%はむしろ効果的ではないと回答しています。

企業がそれぞれのステークホルダーにサステナビリティについて発信することは、どれくらい効果的だと思いますか?

How effective is the business at communicating sustainability with the stakeholders?

Source: Voice of the Industry: Sustainability survey, 2020

企業は発信する内容の見直しを迫られています。これについて、Hege氏はこれからの発信内容を人々がどのように見るのか、いくつかのヒントを紹介しています。たとえば、難しい言葉のまま発信するのではなく、シンプルに伝えることを意識する必要があります。また、受け取る側の幅が広いため、人によってその受け取り方が大きく異なることを理解し、ターゲットを絞ったアプローチをすることが重要です。受け取る側を理解すること、彼らの夢や願いを理解すること、そして彼らの心に響く言葉を積極的に試し、見つけていくことが大切です。

4. 測定できないことは重要ではない

ブランドや企業が今後も経営を継続し、利益を上げるためには、すべてが当たり前のことと思うのではなく、進捗状況を把握する新たな方法や、自社の取り組みによる社会および環境への影響を測る指標を見つける必要があります。

イケアはこの分野でも主導的立場にいるため、Hega氏には、同社の新たなサステナビリティの取り組みの進捗を測定する方法について、お話頂きました。例えば、2021年、イケアでは世界の1億人の人々の生活を向上させるためにサポートすることを目標に設定しました。これはかなり大がかりな目標ですが、同社は売上やソーシャルメディアでのメンションを通し、達成に向けて経過を追っています。また、その発信がどれだけ効果的なのかについても計測することで、以降のやり方の改善および調整をしています。

Christa氏はさらに、企業が進捗状況を測定するためには、より総体的な枠組みを採用する必要があると述べています。組織はしばしば、ひとつの問題について進展があると、それによって他の問題が悪化する可能性があることを見落としがちです。この相互につながった世界では、ビジネスに与え得るあらゆる影響を考慮し、透明性を持って取り組むことが重要になります。これは簡単なことではなく、時にはうまくいかないこともあるでしょう。その中でも、誠実さと透明性を持って対応することが求められているのです。

5. サステナビリティは担当チームだけのものではない

時代が移りゆく中、サステナビリティの役割も進化しています。サステナビリティが企業文化に組み込まれるようになるにつれ、イケアが先駆を切って行っているように、サステナビリティを全社員の仕事の一部としている企業もあります。イケアでは数年前、すべての国のリテールマネージャーをサステナビリティの最高責任者に任命し、彼らの目標やKPI、職務内容に結びつけるという、大胆な方策を打ち出しました。Hege氏は、この方策が人々の考え方に変化をもたらし、組織がより広範なサステナビリティの目標を達成するための後押しとなったと述べました。

イケアは現在37か国で事業を展開していますが、この課題に取り組むにあたり、サステナビリティ担当マネージャーやサステナビリティ担当チームのような一部の人々に責任をただ押し付けることはできません。Christa氏もこれに同意し、「指導的立場にある人がすべてを知ることは不可能である。彼らは従業員に対して指示を与え、励まし、意見を聞く必要がある。これからのリーダーシップに求められるのは、コーチングとリスニングを融合させたアプローチになるだろう」と、述べました。

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(翻訳:横山雅子)