ゴーストキッチン、バーチャルレストランの進化は次なるステージへ

本記事の内容は、Nation’s Restaurant Newsのオンライン版に掲載されたものです。

※本記事は英語でもご覧頂けます:Ghost Kitchens, Virtual Restaurants Enter Next Stage of Evolution

米国(および世界)の飲食店業界では、この2年ほど、「ゴーストキッチン」や「バーチャルレストラン」というバズワードが流布している。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックをきっかけに飲食店業界では新しいビジネスモデルが一気に広がり、全てのステークホルダーにとって経済的にも持続可能である、デリバリーサービスを中心とした未来を構築するための取り組みが進んでいる。

ユーロモニターインターナショナルの推計によれば、米国では少なくとも過去10年間、イートインにおける集客数は着実に減少し続け、2019年には外食産業における消費者支出のほぼ50%にまで割合を落とした。そして驚くまでもなく、この数字は2020年に崩壊し、消費者の外食における支出全体の4分の1以下にまで落ち込んだ。一方、デリバリーの売上は米国の外食における消費者支出の15%以上に上り、2019年の2倍以上に相当する大きなシェアを獲得したが、この背景には、COVID-19の感染拡大によるイートインサービスの休止や、人との接触が少ない購入方法へのニーズの高まりにより、ドライブスルーとテイクアウトの需要が急増したことがある。2021年後半から2022年にかけては、外食産業においてイートインが消費者支出に占める割合も回復が見込まれているが、これからの時代、イートインにおいては、向こう5年間で同支出全体の40%を下回るようになる可能性もある。今後、飲食店は(多店舗展開する飲食店では特に)そのほとんどが、新たなコンセプトとして最初からデリバリーをビジネスモデルの主軸として据えるようになるだろう。そのような戦略の中心となるのが、第三者企業による、または企業が独自に運営するゴーストキッチンである。

2019年は、CloudKitchensやKitchen Unitedといった企業が運営する第三者企業によるゴーストキッチン施設が話題の中心だったが、2020年と2021年はOrdermarkのような企業が注目を集めている。Ordermarkは、Nextbiteプログラムと称してバーチャル上に存在する飲食ブランドと、実店舗におけるキッチン設備に余裕のある飲食店(つまりほとんどの飲食店)を繋ぐ事業を行っている。このような新しいビジネスモデルは、COVID-19収束後もデリバリーにおける消費者支出に恒久的な増加が見込まれるため、その恩恵を受ける可能性が高い。2021年にイートイン利用者の数は回復すると予想されるものの、今後、(ゴーストキッチンによって促進される)さらに迅速なデリバリーが、人々の日常的な「小腹を満たす」機会の大きな部分を占めるようになる中で、イートインにおける集客の性質が変化していく可能性もある。

また、ゴーストキッチン施設数拡大の理由は、各飲食店のデリバリー専用メニューを調理するためだけに留まらない。2020年には、バーチャルを利用するという考えが爆発的に広がったが、その多くは既存の飲食店と提携し、オンライン上でしか展開していない飲食ブランドからのデリバリー注文に対応するというものであった。これにより、今後、飲食店が対応可能な限り、自社の注文だけでなく、提携する様々な飲食ブランドの注文にも当たり前に対応するような未来が示されたといえる。このような飲食ブランドと実際の調理場所が離れている体制は、20世紀にブームとなったフランチャイズのビジネスモデルをさらに進化させたもので、理論的には、飲食ブランドは比較的少ない資本投資で広範囲の地域または全国市場に進出することができる。また、加工食品や飲料のブランドが様々な生産業者と提携し、第三者企業による配送サービス経由で注文できる食事や軽食の新ブランドを立ち上げることが増えれば、外食産業への投資が急増する可能性もある。

パンデミックが収束し、対面での交流を求める消費者ニーズが高まることで、レストランやバーの来店者数は増加し、飲食店におけるイートインの未来は現在よりは明るい。ただし、デリバリー向けに最適化されたフードシステムは今後も普及していくだろう。飲食店業界は、経時的に小売業界の展開と同じような変化が予想されており、高級な飲食店では引き続きイートイン形式が主流であり続け、大多数の飲食店においては、完全にバーチャル化する店舗は多くないと思われる。チェーン店では、イートイン専用店舗から、テイクアウト用キオスク、第三者企業によるゴーストキッチン、そして他の飲食店との生産提携に至るまで、様々な形態を組み合わせ、それらすべてを(理想的には)ひとつのアプリに集約することが新たなコンセプトになるとみられる。また、いくつかの第三者企業のアプリを使い、より低価格かつ迅速に配送することで、小売と外食、出来合いの食べ物と加工食品の境界線は曖昧になり、これによってフードサービス事業者にとっては新たな商機がもたらされるようになるだろう。

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(翻訳:横山雅子)