カンナビス世界市場の未来:注目すべき市場は?

※本記事は英語でもご覧頂けます:The Future of Global Cannabis: Markets to Watch

現在、世界の国々がカンナビス(大麻)を取り巻く規制を、「禁止」から「規制・課税」の方向に修正し始めています。ユーロモニターインターナショナルの最新市場データベース「Passport Cannabis database」を見ると、どこが注目すべき市場なのかが見えてきます。

ドイツ

ドイツのカンナビス市場(合法および違法のいずれも含む)は2025年までに58億ユーロにまで成長し、西欧地域で最大の市場になると見られています。医療用カンナビスは2017年に合法化され、2020年には1.9億ユーロを超える市場に成長しています。しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)危機の発生によってサプライチェーンに混乱が生じ、医療用カンナビスの栽培を始めた3つの会社は、生産開始を2021年に延期せざるを得なくなりました。

2025年には成人用(嗜好用)カンナビスが合法化されると予想されており、それを受けて医療用カンナビスの成長は緩やかになるものと見られています。合法化については来る2021年の議会選挙の結果が大きく影響すると見られ、次の連立政権には嗜好用カンナビスの合法化に賛成姿勢を示す政党が少なくとも2つ参加すると考えられています。合法化はおそらく次期政権の任期の後半に実現するでしょう。禁止的な麻薬政策の失敗と連邦予算の安定化に対する圧力の高まりのいずれもが、保守派にとって規制緩和へのプレッシャーになります。現在、ドイツの違法市場は39億ユーロの規模であると推定されており、市場を規制しながら合法化することでVAT(付加価値税)やたばこへの消費税のような新しい税収源になることが期待できます。また、輸出主導型の国であるドイツにおいて、企業は比較的新しいカンナビス産業に進出し、テクノロジーを駆使しながら将来的には自社のカンナビス製品に関するノウハウや製品を輸出するようになることも考えられます。

英国

英国のカンナビス市場は大きな将来性があるといえ、2020年の同国の違法カンナビス市場は約28億ポンドの規模に達すると推定されています。主要メディアが医療用カンナビスや急成長しているCBD(カンナビジオール)を取り上げていることも、人々の関心の高まりを促進しています。COVID-19が経済にもたらす影響により、嗜好用カンナビスの合法化 に対する政治的な支持が高まり、世論も合法化賛成にシフトし始めています。今後5年以内には成人用(嗜好用)カンナビス市場が生まれることが予想される一方、規制の枠組みは複雑であり、法制化には時間がかかるでしょう。

医療用カンナビスは2018年に合法化されましたが、使用は未だに限定的です。 現在、医療用カンナビスの処方の大半はプライベート医療サービスによるものであり、今後はプライベートセクターにおける医学的根拠の収集が、国民保健サービス(NHS)のガイドライン変更への鍵になると見られています。人々のカンナビスに関する知識は高まり続け、製品も入手しやすくはなってきてはいるものの、変化のペースは未だに穏やかです。しかし、今後の英国国内の医療において、医療用カンナビスは重要な役割を果たすと考えられており、2020年から2025年にかけて年間平均成長率(CAGR)は180%、売上は1.23億ポンド増加すると予測されています。

カナダ

2019年と2020年、カナダでは嗜好用カンナビスの合法化とCOVID-19危機の発生を背景に、生産者が嗜好用製品の生産に集中し始め、医療用カンナビスの品不足が発生しました。その結果、多くの人々が医療用製品購入のための登録を取り止め、代わりに嗜好用製品を購入するようになり、登録患者の数が急減しました。これにより、カナダの医療用カンナビス市場は2020年から2025年にかけて年間平均(CAGR)でマイナス8%減少し、売上は1.53億カナダドルにまで縮小すると予測されています。しかし、症状や疾患、病状の緩和や治療のために、医師の診断およびガイダンスと合わせて医療用カンナビスを必要とする人々も未だに多くいることから、医療用製品市場が縮小するスピードは今後緩やかになっていくものと見られています。

成人用(嗜好用)カンナビスの合法市場は、狡猾な違法市場が価格や品質で対抗するなど前途多難なスタートを切りました。しかし、流通網の改善や継続的な品質向上を経て、2020年には合法市場が違法市場を上回り、今後もシェアを奪い続けながら新しい顧客層も獲得していくものと見られています。カナダの成人用(嗜好用)合法製品市場は、2020年から2025年にかけて年間平均(CAGR)で15%成長し、売上額は47億カナダドルに達するものと予測されています。

また、CBDも成人用(嗜好用)カンナビスと合わせて消費者の関心を集めています。カナダのCBD市場は向こう5年間で毎年平均25%ずつ成長していき、2025年には11億カナダドルの市場規模になると見られています。成人用(嗜好用)製品市場の中でもCBDは製品フォーマットが多岐にわたり、特定の効能や高濃度のTHC(テトラヒドロカンナビノール)を必要としない用途を求める消費者がCBD製品を求めています。CBDの効能をいかに消費者へ啓蒙していくかが、今後の市場拡大の重要な鍵となるでしょう。

米国

向こう5年間の米国カンナビス市場に最も大きな影響をもたらすと予想されているのが、全国的な成人用(嗜好用)製品の合法化を推し進める連邦法の制定です。いくつかの州では依然として違法であるものの、国内市場は2025年までに364%の急成長を遂げ、市場規模は530億米ドル に達する見込みです。州ごとの合法化も国内市場を促進させる重要な要素です。アリゾナ州およびニュージャージー州における合法化は2021年の国内市場に大きな影響を及ぼすでしょう。州レベルで合法化が進むに従い、品揃えがより豊富になり、消費者の多様な好みに対応出来るようになりつつあります。また、医療用製品市場は成人用(嗜好用)カンナビスの台頭によって急速に縮小しており、2025年の医療用製品の市場規模は20億米ドルにまで減少する見込みです。

CBDは2019年に目覚ましい成長を記録したものの、CBD配合であることがラベルに明確に記載されていなかったり、品質に対する消費者意識が乏しいといった課題に直面しており、2020年の同市場は伸び悩むと見られています。とはいえ、米国のCBD市場は今後も成長が見込まれ、2025年の同市場規模は100億米ドルに達すると予測されています。

オーストラリア

オーストラリアでは2016年10月に医薬および科学的調査を目的としたカンナビスの用途が合法化されて以来、患者および投資家から高い関心を集めており、合法カンナビス業界は拡大を続けると共に製品開発も進んでいます。2020年に約5,500万豪ドルの市場規模である国内の医療用カンナビス市場は、2025年には23億豪ドルにまで成長すると予測されています。

最近では「規制が緩和され、近い将来CBD製品が処方箋無しで(OTCで)購入できるようになるかもしれない」というニュースもあり、業界の関連企業や市場にとって、見通しは明るいとされています。一方で、国内で許可されるCBDの投与量では効果は限定的であり、その結果市場に導入される新製品の数はそれほど多くはないのでは、という声もあります。

世界のカンナビス市場についてより詳細に知りたい方はユーロモニターの無料ウェビナーThe Evolving State of Global Cannabis: Market, Consumers and the Future.をご覧下さい。

本記事への寄稿アナリスト:

ドイツ: Linda Lichtmeß
英国: Anna Ward
カナダ: Aga Jarzabek
米国: Alexander Esposito
オーストラリア: Alejandra Cornelio