「サステナビリティから目的の追求へ」Q&A:人々の意識、企業の情報発信 、投資の観点から

※本記事は英語でもご覧頂けます:From Sustainability to Purpose Q&A: Awareness, Communication and Investment

ユーロモニターインターナショナルは世界中に有するアナリストのネットワークを活用し、新型コロナウイルス(COVID-19)によって生まれた、消費者市場を変容させる6つの主要テーマを特定しましたが、その中のひとつが「From Sustainability to Purpose(サステナビリティの追求から目的の追求へ)」です。COVID-19の発生は、目的主導型への移行を加速させました。企業は目先の自社利益のみならず、全てのステークホルダーにとって価値をもたらすことを大切さを認識し、そのことを念頭に企業理念と目的を掲げ、世の中のためになる活動の見返りとして利益を得る、と考えるようになっています。

2020年、ユーロモニターのサステナビリティ・インサイト・マネージャーであるMaria Coronado Robles (マリア・コロナド・ロブレス)は様々なデジタルイベントの中で、世界のサステナビリティトレンドおよびパンデミックがサステナビリティにもたらした影響について議論しました。参加者からの質問に対するロブレスの回答は以下の通りです。

Q:消費者はよりエシカルになっているとのことですが、消費者は、どのようにして支持するブランド、またはボイコットするブランドの倫理観について学んでいるのでしょうか?逆にブランドはどのように自社のサステナビリティに対する姿勢を発信しているのでしょうか?

サステナビリティが消費者にとっての優先事項になり、実に4分の1の消費者が、自分と同じ倫理観を持たないブランドの購入を拒否すると答える中(※1)、自社のサステナビリティ戦略をいかに発信していくかは、企業の成功にとってますます重要な意味を持つようになっています。

消費者の購買行動への影響力を見ると、世界的にも友人や家族によるおすすめが最も大きく(※1)、その傾向は新興国で特に顕著です。また、消費者は、家族や友人だけでなく、著名人やインフルエンサーなど、自分が信用する人々がソーシャルメディアに載せる情報も重要視するとしています(※1)。

デジタル化の加速に伴い、消費者、特に若者層に影響を与えるより多くの行動が、オンライン上で生まれています。例えば、ヘアケアブランドのAveda(アヴェダ)は2021年1月、スーパーモデルで環境活動家のArizona Muse (アリゾナ・ミューズ)を、グローバルブランドアンバサダーに任命しました。

ブランドにとって、ソーシャルメディアのプラットフォームやインフルエンサーの活用は、消費者に正しい情報を伝え、気候変動に対する行動やアップサイクリング、再利用やリペアなど、サステナブルな生活様式に関するコンテンツを作り出せるなど、大きな機会をもたらしています。

自社のサステナビリティの発信の仕方

Source: Euromonitor International Voice of the Industry Sustainability Survey, 2020

自社ウェブサイトおよびソーシャルメディアが、サステナビリティの取り組みを内外的に発信するための主要なコミュニケーションチャネルである一方で、「サステナビリティの問題に対するCEOの声」が、ステークホルダーとの共感を高めるために重要になりつつあります。COVID-19はCEOの積極的な活動やメッセージの発信を加速させ、2020年6月に実施されたサーベイ調査の企業回答者の23%が、自社のCEOを社会的、政治的および環境に関する問題に対してメッセージを発信するサステナビリティ・アクティビストであると見なしています(※2)。

Q:環境意識についてですが、今日の消費者は気候変動とごみ問題、どちちにより強い関心を寄せているでしょうか?

消費者にサステナビリティ関する懸念について尋ねると、その多く(61%)は気候変動について心配しており(※1)、中でも地球温暖化の影響をより受けやすいアジアやラテンアメリカの途上国で、その傾向は強まります。

海洋に押し寄せるごみの問題をメディアが取り上げたことで、プラスチック汚染に対する懸念が高まりました。当社のサーベイ調査によると、プラスチックをサステナブルな素材だと見なしている消費者はわずか5%にとどまっています(※1)。

気候変動に関する懸念は高まってはいるものの、消費者の注目は、電力消費の削減、二酸化炭素の排出量の削減、そして肉消費の削減といった課題よりも、ごみの削減といった個人が参加できる取り組みに集まりがちです。ごみ削減の問題については、より多くの人々が協力の姿勢を示し、世界的にもプラスチックの使用を控えたり、リサイクル、食品ロスの削減、サステナブルな容器への切り替えといった行動が消費者の間で広がっています。

Source: Euromonitor International Lifestyles Survey, 2020

人々が、気候変動よりもごみの問題に対してより積極的に取り組んでいることの背景には、先ほど言及した近年のメディアによる報道など、様々な理由があると考えられます。二酸化炭素の排出や電力消費の削減といった問題は、より大規模なレベルの関与、インフラそして投資が必要である一方、ごみ問題は、削減、再利用、リサイクルなど、人々がより気軽に取り組みやすいといえます。再生可能エネルギーや次世代交通手段などの低汚染資源や製品は、消費者が常に手に取り利用するものではありません。

とはいえ、気候変動とごみの問題は、互いに相いれない問題ではないことを忘れてはいけません。循環型経済の目的には、原料やエネルギーといった資源の効率的かつ再生的な活用の他にも、気候変動への取り組みが含まれます。

Q:アジアやラテンアメリカに比べ、欧州ではプラスチックごみの削減に努める消費者が少ないと言及されました。これは欧州諸国の政府が既に環境問題に対して取り組んでいることが理由ですか?

一般的に、西洋諸国は途上国に比べ、環境問題に対して関心が低いといえ、特に欧州と北米ではその傾向が顕著です。ラテンアメリカおよびアジアの途上国の消費者の方が、社会および環境の問題に対する意識が高いといえるでしょう。彼らは気候変動がもたらす異常気象現象や公害、貧困、不平等の影響を大きく受けており、これらの問題に対する意識や行動しようという意欲が強いといえます。

また、ゴミ問題について議論する際、消費者の意識や行動の他にもインフラ整備や政府レベルの取り組み、NGOの存在や各業界におけるサステナビリティのリーダー企業についても考える必要があります。

サステナビリティの取り組みは、高コストなものばかりではありません。例えばチリのAlgramo (アルグラモ)の容器ソリューションは、サステナブルかつお手頃です。経済的に貧しい人々は、小さな容器の商品を購入せざるを得ず、結果的に同じ量の商品に対して、より多くのお金を支払っていることになります(アルグラモは、これを「貧困税」と呼んでいる)。同社のサステナブルかつ再利用可能な容器によって、消費者は必要な商品をバルク価格で購入することが可能となりました。このように、同社の取り組みは消費者が支払う商品単価を下げるとともに、使い捨て容器にかかるコストの削減に寄与しています。

Q:企業にとって、より多くのサステナブルなソリューションを提供することは、事業にどのような影響を与えるのでしょうか?より多くの市場シェアを掴むことができるようになるのでしょうか?

今日、企業やブランドにとって「サステナブルではない」と見なされることは、市場シェアを失うリスクを意味し、その傾向は強まるばかりです。73%の企業回答者が「自社ブランドのイメージ向上のためにサステナビリティへの投資をしている」と答えています(※2)。また、消費者の20%が目的主導型ブランドを選択して購入すると回答しています(※1)。

サステナビリティは、市場シェア獲得の機会をもたらします。例えば、企業回答者の35%がサステナブルに投資することに財務的価値を見出しています(※2)。Unilever(ユニリーバ)のSustainable Living Brands(サステナブル・リビング・ブランド)は2011年以来、同社のその他ブランドよりも、常に高い成長を遂げており、サステナブルがビジネスにもたらす価値を証明しているといえます。

投資家にとっても、サステナビリティの重要性は高まり続けています。2020年の6月時点で、約半数の企業が株主に対し自社のサステナビリティを伝えおり、22%がサステナビリティへの投資を、資本を呼び込むための鍵であると見なしています(※2)。

危機の最中、ESG(環境、社会およびガバナンス)への投資はより弾力性が高いと考えられています。金融情報サービスのMorningstar(モーニングスター)によると、2020年にパンデミックが最初のピークに達した時期、サステナブルファンドはその他のファンドを凌ぐパフォーマンスを見せ、同年6月末には記録的な1.1兆米ドルを集めました。

サステナビリティへの投資は、環境への配慮を汲んだ消費者需要、今後の法規制、世間からの精査、そして株主からの圧力を予測し、備えるうえでの鍵となります。サステナビリティは、将来的なリスク削減と企業の回復力、ブランドイメージを構築する上でも不可欠な要素となるでしょう。

企業が目指すべき目的や、それがサステナビリティ重視へと移行することにどのような意味を持つのかなど、詳細な内容については、弊社の無料レポート“Growth of Sustainability in Southeast Asia”および“Rethinking Sustainability: No Purpose, No Gain“をご覧ください。

また、弊社のサステナビリティに関する統計データや定性分析にご興味のある方は、こちらまでお問い合わせください。

※1 2020年ユーロモニター・ライフスタイルサーベイ調査
※2 2020年ユーロモニター・ボイス・オブ・インダストリー・サステナブルサーベイ調査

(翻訳:横山雅子)